広島ブログ - あなただけの人生をどう生きるか

この本は渡辺和子さんの全集の中の一つですが、他にも 若い人向けの講話や、入学式や卒業式での告辞などが収められていました。「雑用などありません。用を雑にした時に雑用になるのです。」「卒業式には さようなら ではなく、必ず いっていらっしゃい と伝えています。」などの言葉が収められています。
彼女のお父さんが 渡辺 錠太郎 陸軍中将 なのは、ご存じの方もあると思いますが、彼女が小学校3年生で9歳の時に、自宅で二・二六事件に遭遇し、大好きだった父親が、目の前で43発の銃弾を浴びせられて惨殺されるのを目撃したことが、彼女がキリスト教に生涯を捧げられた、大きな動機だったのだそうです。幼かった彼女の 恐怖、胸の痛み、喪失感は、一体どれほどのものだったでしょう。
幼き日に、そんな壮絶な体験をされた彼女だから、卒業生には「さよなら」でなく「いってらしゃい」と伝えているという言葉は、胸に強く響いてきます。
私は或る総合病院の事務の仕事をしているのですが、昨年の春に転勤で岡山から呉市に移り住んで来ました。そしてこの夏には、豪雨災害に見舞われた呉市で、様々な人の悲報を直接見聞きしました。また今年は、大阪や北海道などで、台風や地震の災害も群発しています。
この街の何処かにも、突然、大切な人との別れを経験された方もいらっしゃるかと思いますが、私自身も「別れ」や「死」について、今一度、真正面から、逃げずに、静かに捉え直してみたいと思います。
そして、渡辺和子シスターが説かれているように、たとえ一般の多くの他の人達とは違っていても、いつの日か 自分だけの、自分らしい、かけがえのない人生を、暖かく肯定して受けとめ、大切にしていきたいと思います。
( 増田 安風 記 )