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[平成30年新年互礼会垂示]

 

今年は明治維新から150年、平成30年の節目、人間禅にとりましても創立70年の節目の年であります。

明治維新から150年。パックス・トクガワーナ「徳川の平和」が終り、鎖国という閉じた世界から広々とした外の世界に眼を向けたのが明治初年であります。

瑞々しい好奇心と感性、そして進取の気性を持って、初めて接する未知の世界に謙虚に学んだ時代であります。

何事にも、プラスとマイナスの両面がありますが、今、明治維新に見習うべきプラスの面をあげるならば、それは、夜郎自大にならず他者から謙虚に学ぼうとする姿勢を持つことだと思います。謙虚に学ぶ時にこそ、日本人の美質は最もよく発揮されてきたのではないでしょうか。

 

人間禅は創立70周年の節目となりますが、人間禅の前身であります居士禅会「両忘会」は、やはりこの明治初年に産声をあげております。

私たちは70年前を、そして150年前を振り返り、居士禅、人間禅の真精神というものを、もう一度謙虚に見つめ、学び直さなければならない時であります。

総裁も年頭の垂示で申しておられましたが、「立教の主旨」をしっかり噛みしめ直して、私たちがこれから進むべき方向をはっきり見出さねばなりません。

 

さて、平成も30年の節目であります。そして、あと1年半で平成という時代は終わります。この平成という時代を振り返ってみますと、昭和天皇の崩御に始まった平成元年(1989)はベルリンの壁が崩壊、東西冷戦の終結、ソ連の崩壊と続きました。平成7年(1995)には阪神淡路大震災、地下鉄サリン事件が起り、平成13年(2001)にはアメリカ同時多発テロ、平成20年(2008)にはリーマンショックが起こり世界経済は大混乱に陥りました。

平成23年(2011)には東日本大震災、一昨年(2016)は熊本大地震というように、平成という時代は大事件や大災害が相次いだ時代でありました。

しかし、それでも私たち日本社会は絆を失いませんでした。いや、むしろ強まったように思われます。多くの人々が、苦難にあわれた方々の力になろうと寄り添いました。そして、天皇皇后両陛下の被災地訪問も大きな共感を呼びました。

 

一方、世界の状況はと申しますと、昨年のトランプ大統領の登場以来、なにか世知辛い、おかしな世の中になりつつあるように感じられます。「アメリカファースト」「都民ファースト」そして「自分ファースト」と、世界全体が、他を顧みず自分の利益だけを追求する社会になりつつあるように思われます。

 

了空庵老師は昨年の新年の御垂示の最後で、次のように申されております。

「地球は一つの合同船であります。合同船とは乗合船であります。この乗合船には男女、老幼、貴賤、美醜、金持ちや貧乏人、肌の白い人黒い人、船長も船員もいて職務を遂行しています。

そして、人間ばかりでなく牛や馬、犬や猫も乗っています(差別)。しかもお互い独立自主の人格(平等)であり乍ら、よく秩序を守り、力ある者は弱い者を思いやり、助け合い、それぞれの本分を尽し協力し合い、和し敬し合ってゆけば平安な航海が得られ無事に目的地に到着できるものです。

しかしお互いが我欲を出し、エゴイズムが先行してエチケットを乱せば争いとなり、船は難破しかけます。

概して狂瀾怒涛の大荒海ともなれば船は沈没してしまいます。

アメリカ次期大統領のトランプ氏が強いアメリカを主張し、米国ファーストを標榜し、中国の習近平氏やロシアのプーチン氏がそれぞれ強い中国、強いロシアを主張すれば、武力衝突することになり、核戦争にでもなれば地球は破滅してしまいます。この円満なる真理、「平等即差別、差別即平等」、「色即是空、空即是色」を納得してもらわなければなりません。知るだけでなく練り上げて実境涯としてもらわなければなりません。人間禅の者は今こそ布教に骨折らねばならない時であります。」こう申されております。

 

皆さんご存知のように、その後の世界情勢は益々深刻さを増しております。

北朝鮮が核弾頭ミサイルを持ち、アメリカを挑発するような行動をとっております。核の危機はますます迫っております。

また、トランプ大統領は「パリ協定」からの離脱を宣言しました。地球温暖化をなんとか阻止しようという全世界の取り組みに水をさしております。

私達の日本の日常は一見平和に見えますけれども、核の危機、地球環境の危機とあいまって、今、世界終末時計は235730秒をさしておるそうです。世界の終りまで、ついにあと230秒と警告されている訳です。

私もふくめ皆で、了空庵老師のお言葉を、もう一度よく噛みしめたいものと思います。

そして、自利ばかりでなく、人を思いやり、「彼れ我が面」「山川草木 皆我が面」と、自利利他の素願を成ぜんことを心より願う次第であります。

以上をもちまして、新年の挨拶とさせていただきます。

 

合掌 布野翠雲(平成3016日)

 

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